F1 2025 第15戦『オランダGP』を徹底解説
2025年のF1シーズンは、まさに歴史の転換点です。7度の王者ルイス・ハミルトンがフェラーリへ電撃移籍し、グリッドの勢力図は一変しました。私が特に注目しているのは、シーズンの後半戦を占う重要な一戦、第15戦オランダグランプリです。伝統的な夏休み明けの初戦として、各チームが持ち込むアップデートの真価が問われる舞台となります。
舞台は、オランダの砂丘にたたずむユニークなザントフォールト・サーキット。ここはドライバーの技量が試される「オールドスクール」なレイアウトと、名物のバンクコーナーが特徴です。残念ながら、この歴史あるグランプリも2026年の開催を最後にカレンダーから姿を消すことが決まっています。
この記事では、この見逃せない一戦を深く理解し、最大限に楽しむための情報を網羅的に解説します。
F1 2025 オランダGPの概要

2025年のオランダGPは、チャンピオンシップの行方を占う上で極めて重要な意味を持ちます。夏休み期間を経て、各チームが開発競争の成果を投入するシーズンの再スタート地点です。このレースで示される序列が、終盤戦のトーンを決定づけることになります。
タイムテーブルとプログラム
日本のF1ファンにとって嬉しいことに、決勝レースは日曜の夜という視聴しやすい時間帯に開催されます。全セッションのスケジュールを日本時間でまとめました。
2025年8月29日(金)
- FP1(フリー走行1)
- 19:30 (日本時間)
- 12:30 (現地時間)
- FP2(フリー走行2)
- 23:00 (日本時間)
- 16:00 (現地時間)
2025年8月30日(土)
- FP3(フリー走行3)
- 18:30 (日本時間)
- 11:30 (現地時間)
- 予選
- 22:00 (日本時間)
- 15:00 (現地時間)
2025年8月31日(日)
- 決勝
- 22:00 (日本時間)
- 15:00 (現地時間)
サーキット|ザントフォールト・サーキット

オランダ、Zandvoortに位置するザントフォールト・サーキットは、4,259mの全長に14のコーナーが配置されています。
最高速度は328km/hに達し、名物の18度バンクコーナー、狭いコース幅、グラベルが周りを囲む古き良き雰囲気が特徴です。
流れるようなコーナー、起伏、グラベルトラップ、バンクターンなどがあり、ドライバーにとってチャレンジングなコースとなっています。
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 所在地 | オランダ王国北ホラント州ザントフォールト |
| 設立日 | 1948年8月7日 |
| コース設計者 | ジョン・フーゲンホルツ サミー・デイヴィス |
| 全長 / コーナー数 | 4,259 km / 14コーナー |
| コースレコード | 1分16.997秒 (2021年 マックス・フェルスタッペン) |
| 最高速度 | 328 km/h |
| エンジン負荷 | 中 |
| ブレーキ負荷 | 大 |
| ウェット確率 | 高 |
| 公式ウェブサイト | Circuit Zandvoort |
| 主なイベント | F1オランダGP:1952年から1985年、2021年以降 F3のマスターズF3:1991年から2016年 |
参戦チームとドライバー
2025年は、近年のF1史上最も大きなドライバーのシャッフルが行われました。最大のニュースは、ルイス・ハミルトンのフェラーリ移籍です。シャルル・ルクレールと組む新体制が、どのような化学反応を見せるのか、世界中のファンが注目しています。
| チーム | ドライバー |
|---|---|
| オラクル・レッドブル・レーシング | マックス・フェルスタッペン アイザック・ハジャー |
| スクーデリア・フェラーリ | シャルル・ルクレール ルイス・ハミルトン |
| メルセデスAMGペトロナス・F1 | ジョージ・ラッセル アンドレア・キミ・アントネッリ |
| マクラーレン・F1 | ランド・ノリス オスカー・ピアストリ |
| BWT ・アルピーヌ・F1 | ピエール・ガスリー ジャック・ドゥーハン |
| Visa Cash App RB F1 | リアム・ローソン アービッド・リンドブラッド |
| アストンマーティン・アラムコ・F1 | フェルナンド・アロンソ ランス・ストロール |
| アトラシアン・ウィリアムズ・レーシング | アレクサンダー・アルボン カルロス・サインツJr. |
| アウディ・レボリュート・F1 | ニコ・ヒュルケンベルグ ガブリエル・ボルトレート |
| マネーグラム・ハース・F1 | エステバン・オコン オリバー・ベアマン |
| アウディ・レボリュート・F1 | セルジオ・ペレス バルテリ・ボッタス |
オランダGPのタイヤコンパウンド(未定)
ザントフォールト・サーキットのバンクコーナーは、タイヤに極めて大きな垂直荷重をかけます。この過酷な条件に対応するため、F1の公式タイヤサプライヤーであるピレリは、通常、最も硬いレンジのC4、C5、C6のコンパウンドから選択されると予想されています。

F1 オランダGPの歴史

F1オランダグランプリの歴史は、単なるレースの記録ではありません。そこには戦争からの復興、技術革新、栄光と悲劇、そして一人の英雄が生んだ熱狂という、壮大な物語が刻まれています。私が愛してやまないこのグランプリの、波乱に満ちた道のりを詳しく紐解いていきましょう。
戦争の遺産から伝説の舞台へ
オランダGPの物語は、第二次世界大戦の爪痕が残るオランダの海辺の町、ザントフォールトで幕を開けました。驚くべきことに、サーキットの起源はドイツ軍によって建設された連絡道路です。戦後、この軍用道路を恒久的なレース施設へと転換させるという独創的なアイデアが生まれ、ザントフォールト・サーキットが誕生したのです。
1950年代から1970年代にかけて、ザントフォールト・サーキットはF1カレンダーの中でも重要なレースの一つとして地位を確立しました。
この時期には、多くの伝説的なドライバーがサーキットを舞台に名勝負を繰り広げました。
- ジム・クラーク: 1960年代に4回の優勝(1963年、1964年、1965年、1967年)を果たし、「ザントフォールト・マスター」として知られるようになりました。
- ジャッキー・スチュワート: 1968年、1969年、1973年に勝利し、彼のテクニカルなドライビングが光るレースが続きました。
- ニキ・ラウダ: 1974年、1977年、1985年と3度の優勝を果たし、特に1977年の勝利は、彼の素晴らしい復活劇の一部として語り継がれています。
この時期、ザントフォールト・サーキットは、多くのF1ファンにとって欠かせない舞台となり、そのテクニカルなレイアウトと自然豊かな環境が、ドライバーと観客の双方から愛されました。
中断と復活のドラマ
ザントフォールト・サーキットは1980年代に入ると、新たなチャレンジに直面しました。
騒音問題や経済的な理由から、1985年を最後にF1オランダGPは中断されることとなりました。
- 1985年: ザントフォールト・サーキットで最後のF1オランダGPが開催され、ニキ・ラウダが優勝。
- 1986年以降: F1はオランダを離れ、ザントフォールト・サーキットも主に国内レースやその他の国際レースイベントの開催地となりました。
しかし、オランダ国内でのモータースポーツへの関心が衰えることはなく、特に2000年代に入るとF1復活を求める声が高まっていきました。
英雄の登場と新たな黄金時代
長い空白期間を経て、オランダGP復活の機運を一気に高めたのは、一人の若き天才の登場でした。マックス・フェルスタッペンの目覚ましい活躍はオランダ国内に爆発的なF1ブームを巻き起こし、その熱狂がグランプリ復活の最大の原動力となったのです。
2021年、36年ぶりにF1がザントフォールトに帰ってきました。スタンドを埋め尽くす「オレンジアーミー」と呼ばれる熱狂的なファンの大声援を受け、フェルスタッペンは凱旋優勝を飾ります。彼は2022年、2023年も勝利し、見事な3連覇を達成しました。
しかし、その牙城は2024年に崩れます。マクラーレンのランド・ノリスが、純粋なマシンの速さでフェルスタッペンを打ち破り、優勝を飾ったのです。この結果は、ザントフォールトが単なるホームサーキットではなく、真の実力を持つ者だけが勝てる真剣勝負の舞台であることを改めて証明しました。
これほどの成功を収めているにもかかわらず、オランダGPは現在の契約が満了する2026年大会を最後に、カレンダーから姿を消すことが発表されています。増大し続ける開催権料を、公的な支援を受けずに民間資金だけで賄うことが困難になったためです。ファンの熱狂と素晴らしいレースを提供しながらも、現代F1のビジネスの現実が、この歴史あるグランプリの未来に影を落としているのです。
歴代優勝者
ここでは、F1世界選手権として開催されたオランダGPの歴代優勝者を一覧で紹介します。
| 年 | 優勝者 | コンストラクター |
|---|---|---|
| 1952 | アルベルト・アスカリ | フェラーリ |
| 1953 | アルベルト・アスカリ | フェラーリ |
| 1955 | ファン・マヌエル・ファンジオ | メルセデス |
| 1958 | スターリング・モス | ヴァンウォール |
| 1959 | ヨアキム・ボニエ | BRM |
| 1960 | ジャック・ブラバム | クーパー |
| 1961 | ヴォルフガング・フォン・トリップス | フェラーリ |
| 1962 | グラハム・ヒル | BRM |
| 1963 | ジム・クラーク | ロータス |
| 1964 | ジム・クラーク | ロータス |
| 1965 | ジム・クラーク | ロータス |
| 1966 | ジャック・ブラバム | ブラバム |
| 1967 | ジム・クラーク | ロータス |
| 1968 | ジャッキー・スチュワート | マトラ |
| 1969 | ジャッキー・スチュワート | マトラ |
| 1970 | ヨッヘン・リント | ロータス |
| 1971 | ジャッキー・イクス | フェラーリ |
| 1973 | ジャッキー・スチュワート | ティレル |
| 1974 | ニキ・ラウダ | フェラーリ |
| 1975 | ジェームス・ハント | ヘスケス |
| 1976 | ジェームス・ハント | マクラーレン |
| 1977 | ニキ・ラウダ | フェラーリ |
| 1978 | マリオ・アンドレッティ | ロータス |
| 1979 | アラン・ジョーンズ | ウィリアムズ |
| 1980 | ネルソン・ピケ | ブラバム |
| 1981 | アラン・プロスト | ルノー |
| 1982 | ディディエ・ピローニ | フェラーリ |
| 1983 | ルネ・アルヌー | フェラーリ |
| 1984 | アラン・プロスト | マクラーレン |
| 1985 | ニキ・ラウダ | マクラーレン |
| 2021 | マックス・フェルスタッペン | レッドブル・レーシング |
| 2022 | マックス・フェルスタッペン | レッドブル・レーシング |
| 2023 | マックス・フェルスタッペン | レッドブル・レーシング |
| 2024 | ランド・ノリス | マクラーレン |
F1 オランダGPの観戦ガイド

オランダGPをザントフォールト・サーキットで観戦する方、テレビやネットで観戦する方向けに、観戦ガイドをご紹介します。
現地観戦
ザントフォールト・サーキットでの現地観戦は、オランダの熱狂的なファンと共に迫力あるレースを楽しむ絶好の機会です。
特にフェルスタッペンのファンが多く集まり、サーキット全体がオレンジ色に染まる光景は圧巻です。
- アクセス: アムステルダム・スキポール空港から電車で約30分。ザントフォールト駅からサーキットまでは徒歩15分程度です。
テレビ・インターネット観戦
F1はテレビやインターネットでの観戦も可能です。
テレビやインターネットでの観戦も、多くのファンにとって魅力的な選択肢です。実際に現地に行けない場合でも、レースの臨場感を味わうことができます。
詳しい視聴方法は次の記事を参照してください。

まとめ

2025年のF1オランダグランプリは、単なる一戦ではありません。大変動のシーズンを象徴し、チャンピオンシップの行方を左右する重要なレースです。ドライバーの技量が試されるザントフォールトのバンクコーナーは、レッドブル、マクラーレン、そして新体制のフェラーリというトップチームの真の実力を白日の下に晒すでしょう。
私が確信しているのは、このレースがF1の面白さの全てを凝縮したような展開になるということです。2026年で一旦見納めとなるこの歴史的なグランプリの熱狂を、ぜひリアルタイムで体感してください。
