F1 2025 第23戦『カタールGP』を徹底解説
2025年のFIAフォーミュラ1世界選手権カレンダーにおいて、第23戦として組み込まれたカタールグランプリは、単なる1レース以上の意味を持ちます。
全24戦で構成されるシーズンの最終盤、11月28日から30日にかけて開催されるこの一戦は、ドライバーズ、コンストラクターズ両選手権の行方を決定づける、まさに天王山となり得る舞台です。砂漠の夜というユニークで過酷な条件下で行われるこのグランプリは、その重要性をさらに増しています。
本稿では、このサーキットの技術的な特性を解剖し、そのドラマに満ちた歴史を紐解き、そして2025年の勝利に不可欠な戦略を深く掘り下げていきます。
F1 2025 カタールGPの概要

2025年シーズンのクライマックスを彩るカタールグランプリは、チャンピオンシップの行方を左右する極めて重要な一戦となります。ナイトレースとして開催されるため、幻想的な雰囲気の中で激しいバトルが繰り広げられます。
Up next? Qualifying 😍#QatarGP #F1Sprint pic.twitter.com/hA31hF5kpt
— Formula 1 (@F1) October 6, 2023
タイムテーブルとプログラム
2025年のカタールGPはスプリントフォーマットで実施されます。つまり、通常のグランプリウィークエンドとは異なり、フリー走行は金曜日の1回のみです。
その後すぐにスプリントレースの予選が行われ、土曜日にはスプリントレースと決勝レースの予選、そして日曜日に決勝レースという慌ただしいスケジュールになります。
2025年11月28日(金)
- FP1(フリー走行1)
- 22:30 (日本時間)
- 16:30 (現地時間)
- SQ(スプリント予選)
- 26:30 (日本時間)
- 20:30 (現地時間)
2025年11月29日(土)
- スプリント決勝
- 23:00 (日本時間)
- 17:00 (現地時間)
- 予選
- 27:00 (日本時間)
- 21:00 (現地時間)
2025年11月30日(日)
- 決勝
- 25:00 (日本時間)
- 19:00 (現地時間)
サーキット|ルサイル・インターナショナル・サーキット
カタールGPの舞台となるのは、ドーハ郊外に位置するルサイル・インターナショナル・サーキットです。このサーキットは、F1マシンとドライバーに特有の挑戦を突きつけます。
サーキットの主な特徴
このサーキットの最大の特徴は、高速コーナーが連続するセクションです。特にターン12からターン14にかけての3連続右コーナーは、タイヤ、特に左フロントに極めて大きな負荷をかけ続けます。
このセクションをいかに攻略するかが、ラップタイムとタイヤマネジメントの両方において勝敗を分ける鍵です。周辺は砂漠地帯であり、路面に砂が乗りやすいことも、グリップレベルを不安定にする要因の一つです。
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 所在地 | カタール、ルサイル |
| 設立年 | 2004年 |
| 全長 / コーナー数 | 5.419 km / 16コーナー (右10、左6) |
| 最高速度 | 346.1km/h |
| エンジン負荷 | 65% |
| ブレーキ負荷 | 25% |
| ウェット確率 | 1% |
参戦チームとドライバー
2025年シーズンは、ドライバー市場に大きな動きがありました。最大の注目は、ルイス・ハミルトンのメルセデスからフェラーリへの電撃移籍です。長年所属したチームを離れ、新たな挑戦を始める伝説的ドライバーの走りは、誰もが注目するところでしょう。
| チーム | ドライバー |
|---|---|
| オラクル・レッドブル・レーシング | マックス・フェルスタッペン アイザック・ハジャー |
| スクーデリア・フェラーリ | シャルル・ルクレール ルイス・ハミルトン |
| メルセデスAMGペトロナス・F1 | ジョージ・ラッセル アンドレア・キミ・アントネッリ |
| マクラーレン・F1 | ランド・ノリス オスカー・ピアストリ |
| BWT ・アルピーヌ・F1 | ピエール・ガスリー ジャック・ドゥーハン |
| Visa Cash App RB F1 | リアム・ローソン アービッド・リンドブラッド |
| アストンマーティン・アラムコ・F1 | フェルナンド・アロンソ ランス・ストロール |
| アトラシアン・ウィリアムズ・レーシング | アレクサンダー・アルボン カルロス・サインツJr. |
| アウディ・レボリュート・F1 | ニコ・ヒュルケンベルグ ガブリエル・ボルトレート |
| マネーグラム・ハース・F1 | エステバン・オコン オリバー・ベアマン |
| アウディ・レボリュート・F1 | セルジオ・ペレス バルテリ・ボッタス |
カタールGPのタイヤコンパウンド
カタールGPでは、タイヤのコンパウンド選択が重要な要素となります。
ルサイル・インターナショナル・サーキットの路面は砂漠の影響を受けやすく、路面温度の変化や砂の影響でタイヤのウェアが大きくなるため、各チームともに適切なタイヤ戦略を練らなければなりません。
2025年のカタールGPではC1、C2、C3コンパウンドのもっとも硬いタイヤが使用されます。
詳しくは、下の解説記事で解説していますので、ぜひご覧ください。

F1 カタールGPの歴史

カタールGPの歴史はまだ浅いですが、その短い期間に信じられないほどのドラマが凝縮されています。過去のレースを振り返ることで、2025年をより深く楽しむことができます。
2021|華々しいデビューと最初の警告
F1初開催となった2021年のレースは、ルイス・ハミルトン(メルセデス)がポール・トゥ・ウィンを飾りました。しかし、このレースで記憶に残るのは、フェルナンド・アロンソ(アルピーヌ)が見せた7年ぶりの表彰台獲得です。彼の卓越したタイヤマネジメントは、まさに芸術でした。
その一方で、このレースはルサイルサーキットの危険性を明確に示しました。バルテリ・ボッタスやランド・ノリスなど、4人のドライバーが左フロントタイヤの突然のパンクに見舞われたのです。これは、高速コーナーがタイヤに与える過酷な負荷を原因とする、未来への警告でした。
2023|安全対策がもたらした史上最も過酷なレース
1年の中断を経てF1がカタールに戻ってきた2023年は、F1史に残る異常事態となりました。フリー走行後、縁石との接触によってタイヤのサイドウォールに分離が見つかり、FIAは安全上の理由から1セットのタイヤでの最大周回数を18周に制限するという前代未聞の措置を取りました。
これにより、レースは全ドライバーが最低3回のピットストップを強いられるスプリントレースのような展開となりました。極度の暑さと湿度が、ペースをマネジメントできないドライバーたちを肉体的限界へと追い込み、レース後にメディカルセンターへ向かうドライバーが続出する、史上最も過酷なレースの一つとして記憶されています。
2024|形を変えて現れた「タイヤ」という名の亡霊
2023年の問題を受け、サーキットの縁石は改修されました。しかし、問題は解決したわけではありませんでした。この年は、タイヤの構造破壊ではなく、「純粋な摩耗」が原因でルイス・ハミルトンとカルロス・サインツがタイヤトラブルに見舞われたのです。
これは、縁石という直接的な原因を取り除いても、サーキットレイアウトそのものが持つタイヤへの高負荷という根本的な課題は変わらないことを証明しました。問題は消えるのではなく、形を変えて再び現れたのです。私が確信しているのは、このサーキットの挑戦は、小手先の変更では解決できないということです。
歴代優勝者
カタールグランプリの歴史はまだ浅いですが、過去の勝者はいずれもその時代のトップドライバーです。
| 年 | 優勝者 | チーム | ポールポジション | ファステストラップ |
| 2021 | ルイス・ハミルトン | メルセデス | ルイス・ハミルトン | マックス・フェルスタッペン |
| 2023 | マックス・フェルスタッペン | レッドブル | マックス・フェルスタッペン | マックス・フェルスタッペン |
| 2024 | マックス・フェルスタッペン | レッドブル | ジョージ・ラッセル | ランド・ノリス |
F1 カタールGPの観戦ガイド

カタールGPをルサイル・インターナショナル・サーキットで観戦する方、テレビやネットで観戦する方向けに、観戦ガイドをご紹介します。
現地観戦
カタールGPの観戦は、スタンドの選び方や立地によって、異なる楽しみ方ができます。
自分の予算や興味に合わせて、最適な観戦プランを選ぶことで、ルサイル・インターナショナル・サーキットの興奮と楽しさを最大限に体感することができるでしょう。
交通アクセス
ルサイル・インターナショナル・サーキットは、ドーハ国際空港から車で約20分、ドーハ市内から車で約40分の場所に位置しています。
公共交通機関を利用する場合は、ドーハ国際空港からサーキット行きのバスが出ています。また、タクシーやレンタカーを利用することも可能です。
ホテルの立地
ルサイル・インターナショナル・サーキットへのアクセスには、ドーハ市内からの車やシャトルバスが便利です。
観戦と観光を満喫するために、ドーハ市内の主要地域に位置する厳選ホテルがおすすめ。ドーハの観光名所へも、市内交通で容易にアクセスできます。
観戦スタンドの選び方
ルサイル・インターナショナル・サーキットでは、バリエーション豊かな観戦スポットがあります。以下は主要なスタンドの特徴です。
- GENERAL ADMISSION: 基本観戦席で、コース全体を見渡せる場所が多い。
- MAIN STRAIGHT STANDS: スタート/フィニッシュライン付近の屋根付きスタンド。ピットレーンの動きも楽しめる。
- CORNER STANDS: 主要コーナー付近のスタンド。ドライバーのテクニックを間近で見ることができる。
治安
カタールはイスラム教を国教とする国で、観光客に対しては寛容な態度を取っています。しかし宗教上の慣習やマナーを尊重することが大切です。
その他の観戦情報
- 飲食: サーキット内には様々な飲食オプションがあります。地元の料理から国際的なメニューまで楽しめる。
- 観戦グッズ: オフィシャルグッズショップで、チームやドライバーのグッズを購入できる。
- 交通: サーキットへの交通は計画的に。大会期間中は交通渋滞が予想されるため、早めの移動をおすすめします。
テレビ・インターネット観戦
F1はテレビやインターネットでの観戦も可能です。
テレビやインターネットでの観戦も、多くのファンにとって魅力的な選択肢です。実際に現地に行けない場合でも、レースの臨場感を味わうことができます。
詳しい視聴方法は次の記事を参照してください。

まとめ

2025年のF1カタールグランプリは、シーズン終盤のチャンピオンシップを占う上で、絶対に目が離せない一戦です。スプリントフォーマットの採用により、週末を通して予測不可能なドラマが生まれることは間違いありません。
このサーキットの核心的な挑戦は、タイヤとドライバーの限界を試す高速・高負荷なレイアウトにあります。過去のレースが証明してきたように、タイヤ戦略と、カミソリの刃の上を渡るような精密なドライビングが勝利の絶対条件です。形を変えながらも常に立ちはだかる「タイヤ問題」という名の亡霊に、チームとドライバーがどう立ち向かうのか。
私が最も注目しているのは、その一点です。砂漠の夜に繰り広げられる、シーズン最後の燃えるような試練を、ぜひその目で見届けてください。
