2023年新設『ラスベガス・ストリップ・サーキット』を徹底解剖
F1カレンダーに新たな輝きを加えたラスベガス・ストリップ・サーキット。眠らない街ラスベガスの中心を駆け抜けるこのユニークな市街地コースは、多くのF1ファンや関係者の注目を集めています。
この記事では、ラスベガス・ストリップ・サーキットのレイアウト、技術的な特徴、レース戦略、そして観戦情報まで、その全貌をベテランブロガーの視点から徹底的に解剖します。
他のサーキットにはない魅力と挑戦に満ちたラスベガスのコースについて、初心者の方にも分かりやすく解説していきますので、ぜひ最後までお付き合いください。

ラスベガス・ストリップ・サーキットの基本情報

ラスベガス・ストリップ・サーキットは、アメリカ・ネバダ州ラスベガス市の中心「ストリップ大通り」とその周辺公道を利用して設けられた最新の市街地コースです。
2023年にF1カレンダーに正式加入し、眠らない街ラスベガスならではの華やかさと、驚異的な高速レイアウトを融合させた唯一無二のサーキットとなっています。
所在地と建設の背景
サーキットはハリー・リード国際空港から北へ約3kmの距離に位置しており、周囲には有名なカジノホテル群が並びます。
建設には、F1の商業権保有者リバティメディアが直接5億ドル以上を投資し、初めて自らプロモーターも兼ねるという歴史的プロジェクトとなりました。
ラスベガスでのF1開催は、1981年・1982年のシーザーズ・パレスGP以来41年ぶりであり、当時の急造コースとは大きく異なり、本格的な高速サーキットとして設計されています。
コースの基本データ
ラスベガス・ストリップ・サーキットは、市の中心部を走るため、通常のサーキットとは異なる独特の雰囲気があります。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 所在地 | Las Vegas, Nevada, United States |
| 設立年 | 2023年 |
| コース設計者 | ヘルマン・ティルケ |
| 全長 / コーナー数 | 6.201m / 17(左11、右6) |
| 周回方向 | 反時計回り |
| 最高速度 | 342km/h |
| 公式ウェブサイト | https://www.f1lasvegasgp.com/ |
ラスベガス・ストリップ・サーキットのサーキットレイアウトと技術的特徴

このサーキットの最大の特徴は、通常の市街地コースとは一線を画す「モンツァ級の高速性」と「大胆なオーバーテイク機会」の設計思想です。
初心者でも理解しやすいよう、具体的なセクションごとにポイントを解説していきます。
主要セクション
ラスベガス・ストリップ・サーキットには4つの注目すべき区間が存在します。
スタート/フィニッシュストレートとターン1
レーススタート直後、ポールポジションからターン1まではわずか175mしかなく、序盤から緊迫したバトルが展開されます。
ターン1はタイトな左ヘアピンであり、複数のライン取りが許されているため、積極的なオーバーテイクが狙えるポイントです。
ターン5~9|スフィア・コンプレックス
新たに建設された球体型会場「MSGスフィア」を囲むテクニカルセクションです。
ターン6はブラインドの高速左コーナー、続くターン7~9は低速コーナーの連続で、マシンのバランスとメカニカルグリップが問われます。
特にターン9の立ち上がりは非常にタイトで、ミスが許されないエリアです。
ターン12~14|ザ・ストリップ・ストレート
約1.9kmにも及ぶ超ロングストレートが設けられており、ここでの最高速度は350km/hを超えることもあります。
有名ホテル群を背景にF1マシンが全開で駆け抜ける光景は、まさにラスベガスGPの代名詞となっています。
最終コーナー群|ターン14~17
ターン14のハードブレーキングは絶好のオーバーテイクポイントです。
ターン16ではブレーキングしながら旋回する難易度の高いコーナリングが求められ、ドライバーの技量が試されます。
パフォーマンス特性
ラスベガス・ストリップ・サーキットの特性は大きく2つにまとめられます。
高速性とオーバーテイク
| 特性 | 詳細 |
|---|---|
| 最高速度 | 約350km/h |
| 平均速度 | モンツァに匹敵 |
| DRSゾーン | 2箇所設置 |
| オーバーテイク数 | シーズン最多記録 |
長いストレートと広いコース幅により、積極的なバトルが生まれやすいサーキット設計となっています。
低温・低グリップという特異な挑戦
11月の夜間開催による低温、再舗装直後の滑りやすい路面条件が、タイヤのウォームアップとグリップ確保を非常に困難にします。
特に、ストレート区間で冷えたタイヤでターンインする難しさは、他のF1サーキットにはない大きな課題となっています。
ラスベガス・ストリップ・サーキットのレース戦略とマシンセッティング

ラスベガス・ストリップ・サーキットは、レイアウトの特性上、通常の市街地コースとは異なる戦略とセッティングアプローチが求められます。
特に、低温コンディションと高速レイアウトという組み合わせが、チームやドライバーに新たな挑戦を突きつけています。
レース戦略
ここでは、実際に効果的だった戦略要素について掘り下げます。
セーフティカー(SC)への備え
市街地コースらしく、ウォールに近いレイアウトや低グリップ路面のため、セーフティカー(SC)が出動する確率は非常に高いです。
特に、ターン6(ブラインド高速コーナー)やターン9出口(タイトな立ち上がり)での接触リスクが指摘されています。
SC導入に備え、ピットストップタイミングやタイヤ選択の柔軟性を常に持たせた戦略が有効です。
| シナリオ | 戦略ポイント |
|---|---|
| 早期SC発生 | ピットインして有利な位置取り |
| 中盤SC発生 | ソフトタイヤへの賭けも |
| 終盤SC発生 | リスク覚悟でオーバーテイク勝負 |
予測不能な展開を見越し、リアルタイムで判断を変えられる柔軟性が勝敗を分けます。
タイヤマネジメントの重要性
ラスベガスではタイヤマネジメントが他のサーキット以上に重要です。
低温と長いストレートにより、タイヤ表面温度が急激に低下するため、適正な温度管理が難しくなります。
特にフロントタイヤは温度が入りにくく、グレイニング(ささくれ摩耗)が発生しやすい傾向にあります。
| 注意点 | 対策 |
|---|---|
| フロントタイヤ冷却 | スローイン・ファストアウトを意識 |
| グレイニング抑制 | ピットストップ戦略の柔軟化 |
| 路面温度変化 | スティントごとにマネジメント方法変更 |
タイヤをうまく保たせたチームが、終盤に圧倒的なアドバンテージを得る傾向が見られました。
マシンセッティング
マシンのセットアップにおいても、ラスベガス独特の条件が求める方向性があります。
ローダウンフォース(低ドラッグ)設定
ラスベガスでは、モンツァやスパと同様にローダウンフォース仕様が基本となります。
ローダウンフォース設定にすることで、ストレートスピードを最大化し、オーバーテイク性能を高める狙いがあります。
ただし、その代償として低速コーナーでは十分なグリップが得にくく、ブレーキングやターンイン時に不安定になりやすいです。
| メリット | デメリット |
|---|---|
| 最高速を稼げる | 低速コーナーでの安定性低下 |
| DRS効果が大きい | タイヤマネジメントが難化 |
このバランス取りが、セットアップの大きなテーマとなります。
セッティングの難しさ
ラスベガスでは、昼夜の気温差が大きく、夜間レース特有の冷え込みも考慮する必要があります。
さらに、セッションごとに路面コンディション(ダスティー、グリップの進化)が大きく変わるため、走行毎にセッティングの最適化が求められます。
| 要素 | セットアップへの影響 |
|---|---|
| 路面グリップ進化 | ランニングオーダーによって対応変化 |
| 外気温低下 | サスペンション設定の微調整必要 |
| 冷えたタイヤ | 荷重移動とトラクションの最適化必須 |
ラスベガス・ストリップ・サーキットの開催イベントとレースの歴史

ラスベガス・ストリップ・サーキットは、単なる新しい開催地ではなく、F1の北米市場戦略の中核を担う存在として特別な位置づけがされています。
ここでは、初開催からの歴史とレースの特徴を振り返り、どのように進化してきたのかを詳しく見ていきます。
初開催|2023年F1ラスベガスグランプリ
2023年11月、ついにF1ラスベガスグランプリが初開催されました。
41年ぶりのラスベガス開催という期待感が高まる中、フリー走行1回目(FP1)で思わぬトラブルが発生しました。
マンホールカバーの破損により、フェラーリのカルロス・サインツがマシンに深刻なダメージを受け、セッションはわずか8分で終了となりました。
これにより、FIAはコース全体の点検と補強作業を行い、イベントスケジュールが大幅に遅延する事態となりました。
それでも、決勝レースは多くのオーバーテイクと白熱したバトルが繰り広げられ、F1のエンターテイメント性を改めて証明する結果となりました。
| 年 | 優勝者 | ポールポジション | ファステストラップ |
|---|---|---|---|
| 2023 | マックス・フェルスタッペン(レッドブル) | シャルル・ルクレール(フェラーリ) | オスカー・ピアストリ(マクラーレン) |
2年目の進化|2024年F1ラスベガスグランプリ
2024年は初年度の課題を踏まえ、運営面で大幅な改善が図られました。
特にマンホールカバーの補強工事が行われ、インフラリスクの低減に努めた結果、大きなトラブルなくイベントは進行しました。
この年はジョージ・ラッセル(メルセデス)がポール・トゥ・ウィンを達成し、さらにメルセデスが1-2フィニッシュを飾るなど、ドラマティックな展開となりました。
| 年 | 優勝者 | ポールポジション | ファステストラップ |
|---|---|---|---|
| 2024 | ジョージ・ラッセル(メルセデス) | ジョージ・ラッセル(メルセデス) | ランド・ノリス(マクラーレン) |
また、このレースでマックス・フェルスタッペンが2024年シーズンの年間チャンピオンを確定させるなど、シーズン全体にとっても重要な一戦となりました。
まとめ

ラスベガス・ストリップ・サーキットは、F1カレンダーにおいて他に類を見ない存在感を放っています。
市街地コースでありながら超高速レイアウトを採用し、世界屈指のエンターテイメント都市ラスベガスを背景に、まさに「走るショータイム」を実現しています。
その独特な魅力は、いくつかの要素に集約されます。
- 約1.9kmにおよぶ超ロングストレートによる迫力の最高速バトル
- ブラインドコーナーやタイトなターンがもたらすドライビングの難易度
- 低温・低グリップという特殊条件による極限のタイヤマネジメント
- セーフティカーを見越した柔軟なレース戦略の必要性
- ストリップ大通りを駆け抜ける華やかなビジュアルとナイトレース特有の雰囲気
一方で、初開催時にはマンホールカバー問題という運営上のトラブルも発生し、F1イベントが抱えるインフラリスクや、地域社会への影響といった課題も浮き彫りとなりました。
しかし、こうした課題に対しても迅速な改善策が講じられ、2年目には安定した運営が実現されています。
ラスベガス・ストリップ・サーキットは、単なる一過性の話題ではなく、2032年までの長期開催契約を背景に、F1の北米戦略の要としてさらに存在感を高めていくことが予想されます。
観る者を魅了するスペクタクル、高速バトル、そして予測不能な展開――。
これらすべてが融合したラスベガスGPは、これからのF1において欠かすことのできない「新たな伝統」となっていくでしょう。
F1ファンならずとも、一度は現地で体験してみたい、そんな夢のような舞台が、ラスベガス・ストリップ・サーキットには広がっています。
